経営効率化推進センター協同組合
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特別企画「アジアビジネス研究会1周年記念シンポジウム」 (1)
一筋縄でいかない13億大国 過小評価も過大評価もせず

  福岡アジアビジネス研究会は発足1周年を記念し、11月5日午後6時から、経営効率化推進センター(協)との共催により「巨人中国とどう向き合うか」というテーマでシンポジウムを開いた(後援:九州大学総合政策センター、読売新聞西部本社、協賛:(中国書店、経営効率化推進センター協同組合)。約80名の参加者があった。

 第1部は読売新聞本社編集委員で、元北京、上海特派員の藤野彰氏が「臨界点を迎えた中国」と題して講演。第2部では藤野氏も加わり、西南学院大学商学部教授・立石楊志氏のコーディネートによるパネルディスカッションが行なわれた。

 会場参加者とパネリストとの双方向による活発な質疑応答が展開され、急成長著しい中国への関心の高さをうかがわせた。以下はその再録。

「社会主義」は看板だけ

 ── このシンポジウムは、日本の企業が中国とビジネスを進めていく上で、どう同国を理解すべきかを討論するのが目的です。藤野さんの「臨界点を迎えた中国」という演題を聞いて、今日は5年以内に中国が崩壊するという話になるのかと思いました。しかし、先ほどのお話はそういうことではなく、矛盾と可能性をはらんだ同国の現状を分かりやすくコンパクトにまとめていただきました。
 まず、皆さんの自己紹介を兼ねて中国との関わりをお話しください。

  日本に来て13年になります。現在、福岡市で徳士(ダイス)電器日本有限会社という会社を経営しています。親会社は上海にあり、省エネ電球や照明器具、配電盤パーツなどを製造し、90%をヨーロッパに輸出しています。我が社はダイスグループの日本法人になります。日本国内でのビジネスは、造船業界向けに供給している配電盤パーツが好調です。

 先ほどの藤野さんのお話で、中国の社会主義は看板だけという指摘がありました。中国では小学校から高校まで社会主義教育を行なっています。これは共産党の統治をやりやすくする目的もありますが、経済発展のためには社会の安定が欠かせません。ですので社会主義教育を行ない、社会主義の看板を掲げる必要があるのです。個人から企業、政府、党まで誰ひとりとして、経済の後退は望んでいません。経済発展には社会主義の看板が要るのです。

 以前と違い、共産党員の大半は専門教育を受け知的レベルが高い。やる気もあります。国際社会のルールをよく理解し、責任体制もきちんとしています。(看板が社会主義でも)ビジネスでは国際市場のルールに従って行動しています。

 

異文化の国との認識を

 篠ア 私が所属しています九大知的財産本部は、4年前の国立大学の法人化に伴って発足しました。研究者・学生の人材を含めて知的財産とみなし、社会に売っていくのが主な仕事ですが、同時に産・官・学および自治体と協力してプロジェクトを推進し、地域に貢献するという役割も担っています。

 私は大学で現代中国論を学び、卒業後は日本企業の中国現地法人を転々としてきました。最初は航空会社の北京支店、次いで建機メーカーに移り、安徽省合肥で現地工場立ち上げに、人事労務担当として関与しました。その後も、上海にあるコンサルタント会社で人事労務を担当しました。この会社は現在、中国第2位のコンサル会社に成長しています。中国滞在は通算10年になります。

 偶然にも、九大が中国との連携プロジェクトを推進するために人を求めているとのお話がありまして、絶好のチャンスと思い、帰国を決めました。私は博多生まれの博多育ちで根っからの博多おんな。九大も博多もアジア・中国に近いのですが、中国ビジネスで活躍の場が少なく、人材は関東・関西へ流れています。私はラッキーでした。

 ── 中国における日本企業のビジネスは最近、やりやすくなっていますか、それともやりにくくなっていますか。

 篠ア 藤野さんもおっしゃっていましたが、中国ビジネスは過大評価をしてはならないし、といって過小評価もしてはならない。私見ですが、日本と中国は歴史も文化も異なる。マネジメントも最初から違うと見なければなりません。私の専門分野である人事・労務管理の面から言うと、自分の会社で成功した手法を中国に持ち込んでも、相互の誤解の上に成立つということになりかねない。まったく異なる文化の外国という根幹のところの違いを突き詰めた上で、現地の人と向き合うことが必要ではないでしょうか。

 私は上海に長くいましたが、日本でよく言われるグローバル化は上海の方がよっぽど進んでいる。人事や労務管理のグローバル化に関しては、日本の方が遅れています。今のままでは、急成長する中国アジア市場に遅れる一方なのではないかと気になります。

 

パネリスト略歴

立石楊志(たていし・ようじ)氏
 1940年8月上海生まれ。東京外国語大学中国科卒、丸紅を経て94年から西南学院大学へ。本籍地福岡県。

藤野彰(ふじの・あきら)氏
 1955年東京都生まれ。早稲田大学政経学部卒、読売新聞へ。国際部次長、中国総局長を歴任。中国滞在は通算11年。

秋吉博文(あきよし・ひろふみ)氏
 1962年大分県生まれ。同志社大学卒。92年秋吉公認会計士事務所代表。06年11月「大連天合秋吉投資顧問有限公司」設立。

篠ア真美(しのざき・まみ)氏
 福岡県生まれ。北京留学後、日日系企業に勤務。2004年7月九大知的財産本部へ。専門は中国ビジネスにおける人事労務管理、組織構築、組織管理。

楽 銘(らく・めい)氏
 上海生まれ。上海の大学を出て上海徳士電器に入社。94年福岡に留学。2000年から徳士電器日本(有)社長。

 
 
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