10/400を勝ち抜き、入賞を果たす

第2回日本語作文発表コンクール開催

　 杜さんの作品のテーマは「永遠の空」。昨年、ガンのため他界されたお母さんへの思いを発表の場で熱く語りました。

　発表が終わって少しの間、会場には沈黙が流れました。ハンカチで感動の涙を拭う人たちが、鼻をすする音があちこちで聞こえました。そして、次の瞬間、会場は大きな拍手の渦に包まれました。

　孫くんの作品は40倍という壁をみごと打ち破り、最終選考会という作品発表の舞台を勝ち取った。

　 孫くんは最終選考参加者10人中、5番目の発表となった。

作品のテーマは「私の社長、それは日本のお父さん」。

　多くの審査員、観衆、メディアに囲まれる中での緊張の発表となったが、孫くんは終始落ち着いた表情で、 気持ちをいっぱいに込めて、3年間の研修・実習生活を通して感じた受入先企業の高崎社長 （現在は会長を務める）への感謝の思いを熱く語った。

中国へ持ち帰りたい「社長から学んだ思いやりの心」　

大勢の観衆を前に発表開始		終始堂々と発表する孫くん

感動で思わず涙がこぼれる社長（現会長）

メディアのインタビューに答える孫くん

　「私がこの会社で学んだ一番のものは“思いやりの心”だ。思いやりの心は人に感動を与え、人の価値観を変える。 それが、その人の行動を変える、だから、その人の人生が変わる。社長より学んだこの宝を中国に持ち帰って、 多くの人に伝えていきたい。」

　会場全体が静まり返り、皆が孫くんの発表に聞き入っていた。彼の発表を聞きながら、大きくうなずく審査員の方や感動しているのか、 小刻みに肩を震わせる方々も何人か見受けられた。

　そして、発表の最後を孫くんはこのように締めくくった。「私には今、社長との一つの約束がある。それは、将来、私が中国で結婚式を挙げる時には社長に参加してもらうことだ。その日が来たら、成長した息子の晴れ舞台を日本の父に見せたい！」

　発表を終えた孫くんが「御清聴ありがとうございました」と言い終えると同時に会場を大きな拍手が包んだ。

　ふっと隣に目を遣ると、そこには感動でこぼれる涙を拭う高崎社長の姿があった。孫くんに贈られる会場の拍手は、しばらく鳴り止むことがなかった。

インタビューも余裕でこなす

　参加者10名全員の発表が終わり、会場は最終選考会ため、参加者たちはしばしの休憩に入った。

無事に発表を終えて、少しほっとした表情で私たちのもとへ戻ってきた孫くん。そこに某テレビ局がインタビューさせてほしいと言ってきた。

　突然のメディアの取材にも動じることなく、はきはきと流暢な日本語でインタビューに答える孫くん。 実は彼は先に行われた日本語能力検定２級試験において、見事合格を果たしている。笑顔でインタビューに答えながら、 今回のコンクール最終選考に勝ち残った彼の日本語能力の実力のほどを証明してみせた。

見事に優秀賞を受賞

　最終選考も終わり、いよいよ受賞者の発表。最優秀賞、優秀賞、優良賞、奨励賞、特別賞と用意された賞の中で、 孫くんは上から２番目に位置する優秀賞を受賞した。

惜しくも最優秀賞は逃したものの、彼は発表において会場の皆を巻き込み感動させた。 誠に見事な誇らしい受賞である。

受賞を終え、戻ってきた孫くん。ちょっぴり悔しそうな表情を見せる孫くんに高崎社長が「私の中での最優秀賞は間違いなく孫くんの作品だった。 本当に感動したよ。」と囁く。その言葉を聞いて孫くんの表情から笑顔がこぼれる。

ここでもまた、孫くんにとっての宝物となる社長の一言が深く心に刻まれたことだろう。



　来日以来、もの凄いスピードで技能や語学を吸収してきた孫成波くん。日本語能力検定2級合格、 日本語作文コンクール優秀賞受賞と最近の彼の躍進は止まるところ知らない。これも全て彼の日々の努力の積み重ねが生んだ成果である。

今回、400を超える作品を勝ち抜き、見事に優秀賞を受賞した孫くんは当組合の歴史に新たな1ページを刻んでくれた。組合員一同、 孫くんの今後の更なる成長と活躍を祈っている。そして、第二、第三の孫くんとなる研修生、実習生が現れることを期待して、 これからの研修生サポート業務に全力投球していきたい。

表彰式にて賞状を授与される孫くん		表彰式後の懇親会で笑顔をこぼす孫くん